錫器製法には大きく分けて、型を鋳込み轆轤で成形する「轆轤挽き」と、板状からの成形による「イタモノ」の2つに分けられます。錫板は錫器製作のための板材としてだけでなく、ヨーロッパで多い壁材の「ティンウォール」やテーブル外装としても使われてきました。日本でも磯庭園・錫門の瓦は錫板での瓦葺きとして有名です。
〔注意〕この錫板鋳込み製法は危険ですので真似をしないでください。熔けた錫が流れ落ちたり、水蒸気爆発の危険があります。
【板製作の準備】
石板やジェラルミン板(アルミ合金)等の鋳込み部分の表面に和紙などの強くて薄い紙を1~3枚覆うように貼り付けます。(側面部をのり付け)
これは鋳込みによる紙の模様を付けるためではなく、基板と紙の間に薄い空気層を作ることで表面の温度を均一にし、ムラの少ない錫板を作ることが出来ます。層が多いほど熱は均一になりますが、紙による膨らみで厚さの精度は落ちます。私は石板に薄い和紙を2層に貼っています。
※錫の融点は約231℃、紙の発火点は約450℃です。
2枚の石板の間に挟む紙枠です。様々な厚みがあります。
2枚の石板の間に紙枠を挟み一方の石板を少しずらして、紙枠の内側に熔けた錫を流し込むための隙間を設けます。
【鋳込み】
錫を熔かします。
セットした石板を斜めに起こし、紙枠の隙間に錫を流し込みます。固まるまで少し静止します。
板が出来上がった状態。上の注ぎ込んだ部分にはゴミや酸化錫が流れた跡が残っています。この部分を除いて使います。
【模様錫板の鋳込み製法】
石板の片面に「縮れ和紙」を挟んで鋳込むと、縮れ紙模様の錫板が出来上がります。縮れ和紙以外にも、型押しした厚紙や彫刻した板を挟むことによって様々な模様の錫板が作れます。
右.縮れ紙模様錫板